令和5年度厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)
小児・AYA世代のがん経験者の健康アウトカムの改善および
根治困難ながんと診断されたAYA世代の感謝・家族の生活の質の向上に
資する研究(23EA1017)(研究代表者 清水千佳子)

はじめに

このホームページは、令和5年度 厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)「小児・AYA世代のがん経験者の健康アウトカムの改善および 根治困難ながんと診断されたAYA世代の患者・家族の生活の質の向上に資する研究(23EA1017)によって作成しています

 この研究班は2つの研究で構成されています。ひとつは「成人期の小児がん経験者(CCS)およびAYA世代がん経験者(AYA-CS)の包括的な健康管理のあり方に関する研究」です。小児がん経験者(CCS)のさらなる予後の改善のためには晩期合併症の管理が重要です。AYA世代発症のがん経験者(AYA-CS)についても、国内でも晩期合併症に関するエビデンスが示されるなど(下村, JSMO 2022)、健康管理の重要性が認識されつつあリます。これまで、小児がん、造血幹細胞移植領域では、ガイドライン、人材育成、長期フォローアップ外来など、長期的な健康管理の体制が整備されてきています。また、成人医療におけるCCSの移行支援の実践モデルでは、小児・成人領域の包括的な情報共有や、成人視点での健康評価、患者教育、心理社会的支援の必要性が言われています(谷山, JSMO 2022)。CCSの健康管理を最適化し、健康アウトカムの改善につなげるには、他の小児慢性疾患やAYA-CSのサバイバーシップケアとの整合性をとりながら運用上の課題を検討する必要があります。そこで本研究では、CCS及びAYA-CSの医療資源の利用実態、成人の健康管理の担い手の知識やニーズ、移行支援の好事例や困難を検討するとともに、成人医療におけるCCS移行支援プログラムの実装研究を行い、CCSの成人医療への円滑な移行やAYA世代の長期的な健康管理の促進に必要な具体的な取り組み、資源・制度等に関して提言をまとめることを目的にしています。

 もうひとつは「根治困難ながんと診断されたAYA世代患者・家族の療養と生活の質の向上に必要な施策の研究」です。AYA世代の患者調査では終末期を自宅で過ごすことを希望する患者は多く(Hirano. J Pain Symptom Manage. 2019)、遺族調査ではAYA世代は終末期の不安や家族等への負担が壮年期以降と比べ大きいことが言われています。(Mori, Support Care Cancer. 2019)。終末期の療養負担の軽減に取り組む市町村は一部にすぎず(畑中, AYAがんの医療と支援 2022)、ケアへのアクセスや経済的負担の地域格差が存在する可能性が指摘されています。しかし、再発・進行がんを抱えるAYA世代の患者・家族の実際のニーズや支援の充足度、自治体等が提供するサービスや地域のリソースの利用実態は明らかになっていません。そこで本研究では、進行・再発がんと診断されるAYA世代の実数や予後、患者・家族や地域の医療者等のニーズ、自治体のサービスやその利活用の実態を把握し、適切な制度設計にむけた提言をまとめることを目的としています。 

研究代表者:清水 千佳子
国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 乳腺・腫瘍内科診療科長 兼 がん総合診療センター長

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